理学療法士 野瀬 裕介(のせ ゆうすけ) 様にご講演いただきました。
周囲の少しのやさしさが認知症の方の働く場所を増やし、老老介護における介護者の負担を減らす社会を創る
理学療法士 野瀬 裕介(のせ ゆうすけ) 様
2019.02.13 テーマ:ソーシャルワーク
2018年9月に誕生した「やさしさ集まる料理店」。
このイベントでは、認知症の方がホールスタッフとして働く機会を創出しています。
「もし、ご自身の近い関係の方が認知症になった場合、その方が社会進出することについて、賛成でしょうか?反対でしょうか?」
野瀬さんのお話は、こんな投げかけから始まりました。
野瀬さんが挑戦されているのは、「やさしさ集まる料理店」。
始めるにあたり、「認知症の方を見世物にするのか?」「失敗することで自信を失い、返って悪化するのではないか?」という反対意見も多数あったと言います。
「注文を間違える」「届け先を間違える」こういった事は、通常の飲食店であれば許されることではありません。
しかし、野瀬さんは仰います。
「少しの優しさが、認知症の方の社会進出を可能にし、人間らしくイキイキと活躍していくことが出来る」と。
では、なぜ、それを目指すようになったのでしょうか?
理学療法士の資格を持つ野瀬さん。臨床現場での体験が全てだと仰います。
介護する側の心身がボロボロになっていく、老老介護の現実を目の当たりにし、認知症の方が周囲に与える影響の大きさに課題を感じたそうです。
認知症の進行の原因は、外出機会の減少(週3回以下)により進行することが多いと言われ、その一因として定年退職がきっかけになっていると考えた野瀬さんは、それならば週3日働く場所があれば良いのでは?と考えるようになったのだとか。
どのようにして機会を創出していくか模索する中、認知症の方がホールスタッフとして働く「注文を間違える料理店」の存在を知ります。
発起人に会うことで、認知症の方がイキイキ活躍できる場所づくりの意義や価値を確信し、「やさしさ集まる料理店」の企画に踏み切ったそうです。
普段、福祉施設で誰とも話さずにいる人が、エプロンをして厨房に立った途端に力を発揮する…役割を持って、社会参画することが必要!
それは、認知症に対するネガティブなイメージを払拭するだけでなく、例えばうつ病や発達障害の方たちにも、寛容な環境の中で働くきっかけになるのではと。
しかし、運営する上で資金繰りが大きな課題と捉え、売上と社会貢献の両面を叶える様々な可能性を模索しつつ活動されています。
「目先の収益だけではなく、これからの世の中を見据え本気で社会問題を解決する」こういった視点を持つ方に支援していただきたい、そんな想いある取組みです。是非ご支援下さい!
◆プロフィール 平成3年9月5日生まれ。兵庫県尼崎市出身。 中学生の時に野球で怪我し、担当して頂いた理学療法士の治療する姿に憧れ理学療法士を目指す。 関西医科専門学校を卒業し、国家資格所得後、尼崎市の医療介護複合施設に就職し4年間(2013~2017)勤める。 その後、高齢者の体は治療より予防が大切であると判断し、独立して事務所を構える。 事務所を開業し1年後の、2018年5月25日に藤岡理事長と出逢い「社会を大切にしない人間は社会から裏切られる」 との一言によって、人生で初めて社会に対して関心が向き、認知症が引き起こす老老介護問題に着目する。 老老介護問題の負担軽減には高齢者の認知症進行予防が必要であると考え、脳を活性化させる集団体操やゴミ拾い活動を開始する。 そして、TVを通じて、認知症の方が料理店のホールスタッフで働く注文を間違える料理店の存在を知り、活動に踏み切る。 2018年9月に【やさしさ集まる料理店】が誕生し、やさしい社会を産み出せば、認知症の方が持続的に働ける社会の実現に向けて活動している。