株式会社サンクレスト 代表取締役社長 植田 実 様にご講演いただきました。

6月8日(水)、一般財団法人レオ財団の月例会&勉強会が行われました。
今回の講師は、株式会社サンクレスト 代表取締役社長 植田 実氏にご講演して頂きました。
 
「こんばんは~!!」
おじさんが両腕を天に向け大きなジェスチャーで絶叫する。
「・・・・・・・・・・」
あまりの声の大きさとその仕草に参加者は、一瞬度肝を抜かれる。
「あの、僕が言ったら返して下さいね。 では、こんばんは~!!」
「こんばんは!」
「もう一度、こんばんは!!」
「こんばんは!!」
こんな調子で講演会が始まる。参加者達もようやくこのおじさんの場作りに慣れてくる。
 
このおじさんとは株式会社サンクレストの代表取締役社長である植田 実氏のことだ。
「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」をはじめ、「がっちりマンデー!!(TBS)」、「ひるおび!(TBS)」、「めざましテレビ(フジテレビ)」など数多くのメディアに顔を出す気鋭の経営者である。TV出演はこれまでに約70回というから驚きだ。
サンクレスト社は携帯用のぞき見防止フィルター「メールブロック」をはじめ、携帯デコレーション「ジュエリーシール」やキズ自己修復フィルム「マジックフィルム」などスマートフォン用のグッズを開発販売する大阪府東大阪市に本社がある企業だ。同社ではリーマンショックのあおりを受け、2008年頃経営危機に陥るが、植田社長の奇抜なマーケティング手法によりV字回復を成し遂げてきた。
そのマーケティング手法とは「ヒット商品は女子高生・ギャルママに聞け」である。大阪で若者達が集まる「アメリカ村」に出向き、女子高生に流行や商品に対するコメントをもらう。
「おっちゃん、このメールブロックのフィルムの色、なんで黒やのん?ピンクやブルーなどカラフルにしたらええやん!」
という声を聞いてカラフルな色のものを作ったら、これが大当たりした。それまで半年で300枚しか売れなかったものが、1年で20万枚も売れたのだ。
またある時、
「おっちゃん、ピンクのジュエリーシール絶対売れるよ!」
の声から、それを開発「がっちりマンデー!!」でアメリカ村を取材・商品紹介するなどして、こちらも爆発的に売れる。また、本社に定期的にギャルママを集めワイワイガヤガヤと新製品について話し合う場を設けているという。常に自社製品群において、情報の最先端を行く彼女たちの声を反映した商品開発を行うこと、それが植田社長流のマーケティングなのだ。
 
そんな植田社長が大切にし、実践していることがある。
「動詞3つで人生が変わります。」
1.挨拶 大きな声で挨拶する。
2.行動 100%前向きであきらめない。
3.お客様に対して常に感謝し、お客様の姿が見えなくなるまで見送る。
もし、10代半ばの子ども達がこの3つの動詞を実践するだけで、150%人生が変わるという。
そしてもう一つ大切にしている言葉がある。
『「一期一会」は自分がつくるもの』
 
現在63才の植田社長は波乱に満ちた人生を歩んできた。
父親の病、内職で生計を立てる母、貧困、借金のため大学入学断念、起業資金のため10年間死にものぐるいの勤労、結婚、そして起業。
 
そんな植田社長に天は更に試練を与える。
長男が10才の時に小児癌に冒される。耳の下にガン細胞が見つかり、顔の半分の神経を取るという12時間にも及ぶ大手術を余儀なくされた。幸いにも手術は成功するが、半年後癌が再発する。医師からは助かる可能性は低いと告げられる。
「その時はもう神に祈るしかなかったです。10才の息子をあと10年、20才まで生きさせて下さい。それが叶ったなら、私は(世の中のために)どんなことでもします。」
植田夫妻はそう祈りながら、東大阪にある石切神社で何度もお百度を踏む。石切神社は御神体の劔矢であらゆる腫物を取り除いてくれると言われるありがたいお社だ。
神のご利益か、ある知人から最新の治療を行う千葉の病院を紹介され、また他の知人からは再発を防ぐためのワクチンを紹介される。それが奏功し、長男は30才を超えた今も元気だ。
 
サンクレスト社の経営も安定してきた5年前に、植田社長は石切さんとの約束を果たす決意をする。それは夢があってもお金がない青少年を支援しようとする活動だ。様々な環境により夢を諦めなければならない子供達が、夢を叶えるために大人達が出来ることをする。
 
植田社長は言う。
「慢性化した不景気は日本人に自尊心の崩壊と生活基盤の破壊をもたらし、日本社会にとどまらず世界的に大きな影響を与えている。日本社会のこうした経済的危機は、特に次世代を担う子どもたちに影響を与えている。経済的理由から教育を受けられない子ども、親が育児能力を持たず放置されてしまう子供、さらに親からの日常的虐待を受け、身体的・精神的に追い詰められる子供が、一世代前とは比べものにならない数に上る。
東大阪市でも児童養護施設が5施設、450人以上の児童が入居している。また生活保護を受ける世帯が年々増え続け、大きな社会問題となっている。このような厳しい社会状況のもとで青少年の中には家庭環境や経済 的理由で将来への希望や夢をあきらめざるを得ない子どもたちが数多く出てきている」と。
さらに「中国やインドが台頭してくる中、日本はアジア社会の一員、 国際社会の一員としての役割が、より求められるだろう。我々はこのような状況のもとで世界に目を向けて、自分の夢を実現するために頑張る青少年、特に児童養護施設に入居する児童、経済的に問題がある若者を対象に、経済支援に加え社会に出て活動するために必要なスキル・教養などの社会的教育を行う。」
植田社長はこの支援活動を自らの志とし、実践するために『一般社団法人 青少年夢応援隊』を設立した。それは「神との約束」を果たすためでもある。
その活動の一環として「世界に羽ばたけ『夢』スピーチコンテスト」を開催している。2016年秋には第4回を迎えるそのコンテストは、若者が自身の夢をテーマにスピーチを行い、受賞者には奨励金50万円を贈る。
 
「私の夢は今勉強している中国語を活かして空港でグランドスタッフとして働き、多くの方々を笑顔で外国に送り出すことです。私は奨励金を頂いて大学の語学研修と来年かの交換留学に充てることができ、私の夢に一歩近づけました。」
 
「私の夢は国際社会で活躍し、2020年の東京オリンピックで通訳をすることです。昨年このスピーチコンテストで勝ち取った奨励金で語学留学するという夢が叶い、今年の9月から1年間中国に行くことが決まりました。」
 
「海外に行って仕事が出来るよう、大学に行って勉強し続けることが僕の夢です。」
 
過去の受賞者達の声だ。
植田社長は20年間で1,000人の留学生を送り出すことを目指しているという。
「私は20年後、このプロジェクトから巣立っていった若者が日本社会の中核となって活躍していることを信じています。」
 
山溜穿石(さんりゅうせんせき)、植田社長の夢は時間をかけながらも、確実に実現に向かっていくことだろう。
 
 
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